成形工場で成形機の稼働していない時間の原因を調査した
ところ、金型の故障が最も多かったという調査結果があります。
PPSやPOMなどは特にガスの発生が多いので頻繁にメンテナンス
が必要です。また長い間成形していると、スライドのレール部
分、水穴の錆、ガスが逃げ込む場所の損傷など・・・様々な箇所
が様々な理由で劣化してきます。
金型は、毎回500Kg/cm2程度の圧力が金型の内側にかかって
おり、尚且つ200〜300℃程度の樹脂を1分に1〜4回程度プレスし
続けている訳ですから、壊れないのが不思議なくらいです。
金型の初期費用をケチると、冷却不足や鋼材不良、スライド
レール無し等であとから費用が発生ししたり、すぐに寿命が
来たり返って高くなってしまったりという事態に陥ります。
良い製品図と良い材料選択、そして良い金型+アフターメンテ
ナンス性のバランスを取ることが必要になってきます。
金型の故障の原因は、大きく分けると4項目に分類されます。
(1)金型の設計不良
(2)金型の加工精度不良
(3)金型の摩耗・腐食
(4)金型使用時の操作の誤り
このうち、(1)(2)あってはならない項目です。
また、金型設計時には、メンテナンスの事も考慮した設計が
必要です。
分解しやすいように分解用孔を設けたり、フックボルト用ねじ
を設ける、組み込み補助用ねじ孔を設けるなど工夫します。
また、コア類がばらばらにならないようにフレームブロック構造
としたり、キーで固定する構造も有効です。コアピン類の配置
番号を刻印したり、方向性を一定にするためにツバカットを工夫
することもしばしば採用されます。
プラスチック金型のメンテナンスが必要になる原因のひとつが
成形時に発生するガスが液化し、金型へ付着することです。
使用する樹脂や形状に応じて最適なエアベントやエア溝を設置し
ガス抜き効率を実現する構造を取ります。このガス抜き技術が
金型のロングライフを実現することになります。
通常、金型メンテナンスというと(3)を対象にしています。
(4)は人為的な型傷で、10万ショットもすれば、何かが起
きる可能性がありますが、これを防ぐには、硬い鋼材を使用
するのが最も効果があります。
いずれの場合でも、故障が起きたときは、ただちに修理しな
ければならず、先延ばしするとさらに重大な結果を招くこと
になります。
金型のメンテナンスでは、工場によっては、メンテナンスと
オーバーホールの言葉を区別します。
メンテナンスとは、金型を分解しないで行う整備を言い、例え
ば2週間に1回、生産計画に入れて、定期的に行います。
オーバーホールとは、金型を分解して行う整備を言い、例えば
4カ月に1回、生産計画に入れて、定期的に行うものです。
方法としては、金型を分解し、それぞれのパーツを超音波洗浄
したり有機溶剤で洗浄し、錆びている部分を磨いたりめっきし
たりします。磨耗が激しい部分は、入れ子修正したり、部品交
換を行います。
メンテナンスの頻度は、成形品の品質管理状況や金型の大きさ
によってまちまちです。短い周期の金型では数日に1回、長い
周期の金型でも2か月に1回程度はメンテナンスが必要です。
簡単な補修は、成形現場でできる能力をつけることです。
そして、それには金型のメンテナンスのために、詳細なマニ
ュアルを作成することです。
大きな異常があってから修理するのでは多大な時間と費用が
かかります。日常の整備をしていれば、わずかな異常にも気
がつくようになり、大事に至らないうちに修理することがで
きます。
また、メンテナンスを効率的に行うためには、工具類、道具類
の工夫が重要です。
洗浄用ブラシ、分解工具、木製工具、布製治具、バフ、サンド
ペーパー類、磨きクリーム、ラップ剤、特製割り箸、竹へら、
竹櫛、エアーツール、クレーン補助具、Zライト、ルーペなどを
準備します。
作業台は作業しやすいように改善します。
作業しやすいテーブル高さ、歩行スペース、クレーン配置、
エアガン配置等を工夫します。図面を広げるテーブルやホワ
イトボード、デジカメ、ビデオカメラの活用も有効です。
ラベル:メンテナンス


