パナソニック、キャノンなどが国内生産を増加させているが、この動きが本格的に加速するかどうかは定かではない。
円安がいつまで続くのか?不透明であり、また、人口減少により日本で生産するより、世界の消費地で生産する方がより有利になると言う考えが定着してきているからだ。
一方、2014年10〜12月のGDP(国内総生産)の速報値は、物価変動を除く実質で、前の3カ月と比べ、年率に換算して+2.2%と、消費税増税後、初めてのプラス成長となった。
ただ、円安、原油値下がりなどの要因が大きく、個人消費・住宅・企業の設備投資といった内需が総倒れの状況なのだ。日本経済が上向くには、海外要因がこれからも重要であることを示唆した統計となっている。
一方、すっかり正月モードに入っている中国はどうだろうか?
中国国家統計局が20日発表した2014年の国内総生産(GDP)伸び率は前年比7.4%で、1990年以来24年ぶりの低水準となった。不動産市場の低迷が需要の重しとなり、2015年も一段の伸び鈍化が見込まれている。
そして、政府の発表した7.4%という成長率が果たして本当かどうかも疑問である。
実体経済が伸びているかどうかを見る場合、より確実な指標の一つは、生産活動を支える電力消費量が伸びているかどうかである。
たとえば2013年、中国政府公表の成長率は7.7%であったが、それに対して、全国の電力消費量の伸び率は同じ7%台の7.5%であった。しかし2014年、中国全国の電力消費量の伸び率は13年の半分程度の3.8%に落ちていることが判明している。だとすれば、14年の経済成長率が依然として7%台とは疑問を抱かざるを得ない。
電力をあまり消費しないサービス業が伸びたという主張もあるだろうが、工業生産が落ち込んでいるのは肌で感じるところだろう。
2014年の中国経済の減速が政府発表以上に深刻であることを示すもう一つの数字がある。中国交通運輸省の発表によると、2014年1月から11月までの中国国内の鉄道貨物運送量は前年同期と比べると3.2%も減っていることが分かった。生産材や原材料の多くを鉄道による輸送に頼っている鉄道大国の中国で、鉄道の貨物運送量が前年比で3.2%減ということは、中国全体の経済活動がかなり冷え込んでいることを物語っている。
目に見える形で衰退が激しいのが住宅建設を主体とする不動産業。不動産バブルが崩壊して「支柱産業」としての不動産業が衰退してしまうと、今まで不動産業の繁栄にぶら下がってきた鉄鋼やセメント・建材などの基幹産業がいっせいに沈没するのは避けられないであろう。不動産投資低減のマイナス効果は、今でも既に不況に陥っているこの一連の産業の低迷に拍車をかけることになるからだ。
製造業が沈没すれば、それに支えられている雇用は大幅に減り、よりいっそう失業の拡大が予想される。しかも製造業全体の業績不振の中で従業員の賃金水準がさらに下落することも考えられる。それがもたらす致命的なマイナス効果はすなわち、中国政府が経済成長率の失速に歯止めをかける役割を多いに期待している内需の拡大がますます不可能となることだ。失業が拡大して賃金水準が下がってしまうと、今後の国内消費は縮小することがあっても拡大することはまずない。
春節明けの中国経済は目が離せない状況が待っている。
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