日本の製品の品質は世界一といわれる反面、製品のリコール、企業
のデータねつ造、改ざんなどの企業品質の問題が多発しています。
今、このような相反する現象はなぜ起こっているのでしょうか?
そもそも日本品質を育んできたものは、熟練技能を持った匠の存在
と阿吽の呼吸で代表される、共通の価値観に基づく行動による暗黙
のルールの存在です。
モノ言わずとも、相手の考え方を理解し行動するという暗黙のルー
ルがあってこそ、日本製品の品質が世界一の座を獲得できたのです。
世界の工場となった中国の製造業と違って、匠の技を持つ職人が
存在する限り日本品質は高く評価されるでしょう。
しかし、熟練技能者の減少と重なって、多品種少量生産を強いら
れる工場では若手も即戦力として熟練技能に立ち向かわなければ
ならなくなっています。
毎日作るものが変わり、変化の激しい製造工程では、管理層は
現場を十分に把握できず、全員が共有した暗黙のルールも、いつ
しか自分を中心とした狭い範囲の独自ルールで仕事を進めるよう
になって来ました。
結果として、品質問題は解決せず放置され、仕方なしにデータは
ねつ造、改ざんが日常的となり、それが発覚して社会問題となっ
ています。
日本の企業は、匠の熟練技を継承、残しつつ、かつ共通のルール
をどのように復活、維持させていくのかを真剣に考えなければな
らない時期に来ていると考えられます。
所詮、日本人の文化として、標準化(手順書作成)をきめ細かに
行っても、それよりも、行動の基本となっている独自の風土が
存在するのですから欧米的な考えでルールを決めても決して守ら
れることは有りません。
これからの日本製品の品質を世界で継続して認めてもらうには
@若手社員へ熟練技能の継承
A明文化されない組織風土、暗黙のルール、価値観の共有
の重要性を認識し、独自の品質管理の概念を築き上げていくこと
が最も重要ではないかと考えます。