2019年03月15日

中国の子会社で発生するさまざまな不正とは

中国の子会社では残念ながらに様々な不正(在庫横流し、キックバック、現金着服、カラ出張、不正交際費等)が発生しています。

1.中国子会社で多くの不正が発生する理由
子会社の管理部門における勤務経験の比較的長い現地スタッフであれば容易にその不備をついた不正を行うことが可能です。また中国も豊かになったとは言え依然貧富(所得水準)の差は大きく、経済的な「動機」を持ったスタッフも中にはいるようです。さらに、自分は会社に十分貢献していると自己評価により着服等の不正な収入を「正当化」している事例もあります。

2.不正のチャンス
中国子会社の現地スタッフの担当業務、これに係る内部統制の整備運用状況を日本人マネジメントが把握していないケースが多くあります。さらに日本人マネジメントは定期ローテーションで3年から5年で帰任してしまうのが一般的です。一方勤務経験の長いスタッフは、内部統制上の不備(不正の機会)を容易に認識できます。こうした状況が重なり不正の「チャンス」が大きくなっていきます。

3.従業員レベルの不正の特徴
1回当たりの不正金額は少額のケースが多いため簡単な監査などでは明らかにならないことが良くありますが、長期間にわたり不正が行われた場合で、その不正が発覚した時の累計額が以外に大きく驚くことがあります。たまたま、不正が発覚していないだけで水面下で相当額の金銭、資産流出がされている可能性もあるため留意が必要です。

4.不正への対応策
中国子会社では、マネジメントによるモニタリングは不正牽制機能として非常に重要になります。また、事業環境は目まぐるしく変わっていきますので、現状のモニタリング方法が適切に機能しているか確認することも必要です。たとえば、事業開始後で目が届いていた組織でも、事業拡大によりモニタリングが困難になることもあります。さらに、中国ではスタッフの「共謀」により内部統制が機能しなくなるケースも多い点も留意が必要です。一度現状の体制に見合ったモニタリング統制が整備運用されているか検討されることを推奨します。

5.社外不正
外部業者への業務委託が契約条件どおり遂行されず、気が付かないうちに水面下で相当の経済的損失を被っているケースがあります。特に役務提供の成果が見えにくい(検証しにくい)業務は留意が必要です。広告宣伝業務、運送業務、清掃業務等様々な委託業務がありますが、自社で確認するのは難しいケースも多く、外部の専門家による検証も推奨します。
posted by bintian at 10:41| 最近中国事情 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月09日

失われていく良き上海の面影と日本人

かつて上海には、会社を設立した中小企業の経営者や、日本企業の
現地法人などで働く日本人が数多くいました。2000年代前半、上海
に乗り込んだ日本人は異口同音に「中国には市場があり、上海には
日本にはない闊達さがある」というものだった。上海ビジネスに
どっぷり漬かる人たちも多く存在していました。

だが今、滞在歴が10年、20年を超える“ベテラン”駐留者たちですら、
先を争うように帰国しようとしています。帰国を急ぐ理由はさまざま
ですが、外国人が居留証を申請しにくくなったことは大きい理由でも
あります。しかしもっと大きな原因は、上海に「明るい未来」を見出
せなくなったことです。

1.急激に息苦しさが増す上海の街
かつては多くの日本人が上海に希望を見出してきた。政治体制こそ違
うが、地方経済の縮小や少子高齢化が進む日本の行く末を思えば、
いっそ中国の先進都市に身を投じた方が、日本を上回る安定した生活
を送ることができるのでは、と考えていた日本人も多かったのです。

しかし、上海に明るい未来があると信じる日本人はもはや少数派に
なってしまいました。馴染みの日本人向け飲食店街、居住街はすっか
りなくなって、チェーン店ばかりになってしまい、ひっそりと経営し
ていた“地元の味”は跡形もありません。街はきれいになりましたが、
共産党の“中国夢”のスローガンで覆いつくされています。

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なんでもスマホで済ませられる生活は確かに便利ですが、消費データ
はすべて企業に吸い上げられそれが今後、個人の格付けに使われると
いわれています。中国では13億人を格付けする信用社会システムが
始まろうとしています。赤信号を横断すると減点、駐車違反でも減点
です。点数が低いと航空券が買えなくなったり、子どもの進学先が
制限されるなど、さまざまな制限を受けることになると言われています。

急変する中国社会に危機感を持つのは、便利さの代償としてあらゆる
個人データを吸い上げられ「自由」を奪われていくという方向づけが
なされてしまっています。管理体制のもとに置かれそれに慣れきって
しまった中国の人々は、「自由」や「民主主義」に対する感度が鈍い
というが在住歴が長い日本人たちは、日に日に強まる息苦しさを敏感
に嗅ぎ取っているのではないだろうか。

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2.2017年度から持ち直した対中投資
中国上海の在留邦人総数は2012年10月の5万7458人をピークに減り
始め、2016年同月には4万3455人大幅に前年を割り込みました。

中国商務部の資料から過去10年を追うと、2012年に過去最高の約74
億米ドルをつけた日本企業の対中投資は、人件費の上昇や反日デモの
影響などを受け翌年から下落し、2016年には2012年の半分以下の31
億米ドルにまで落ち込んでいます。

ところが、2016年を底に2017年には33億米ドル、2018年には38億
米ドルと持ち直しはじめてています。

3.変化する対中投資の傾向
それでは一体、どのような業種が増えているのだろうか。日本貿易振
興機構(JETRO)の海外調査部によると、製造業の構成比は2015年
の60.5%から2018年上半期は66.2%と伸びていることがわかります。
中国が製造業の高度化を図るうえで、日系工場からの輸送機械器具な
どの基幹部品の調達を高めていると推測されます。

しかし、シビアなコスト削減を行う日系企業は、若手の単身社員を
派遣する傾向が強くなっており、例えば総経理は中国人、従業員も
中国人というように、現場は「日本人ナシ」で回転するようになっ
ています。

そんな中、日本企業は中国で生き延びられるのか、という疑問があ
ります。中国は人海戦術ができたからこそ進出の意味があった、
1990年代と異なり、今は自動機械で製品をつくる時代となって、
それは中国資本の工場でも生産できることを意味し、日本企業の
価値が低くなって来ていることを示しています。

そこで、生き延びられるのは、「中国にない技術を持っている日本
企業だけ」ということになり更に、形ある完成品ではなく、素材・
化学業界など、工程管理が難しい業界はまだまだ生き残れる可能性が
高いと言えます。微妙な工程を管理するには、細やかさを得意とする
日本の力が今なお生かされています。

4.米中貿易戦争と2019年度以降の見通し
しかし、米中貿易戦争の影響で、2019年1月の貿易統計では、半導
体製造機械、素材などの輸入が軒並み20%〜50%も落ち込んでおり
、急激に設備投資が停滞し始めたことを示しています。

このことは、これまで中国では政経分離が進められてきたが、時代は
明らかにそれへの“逆行”が進んで来ている。日系企業は今後はコスト
や採算だけでなく、中国内の“空気感の見極め”も必要となってくる
と思われます。表面的には日本と中国の間には友好ムードが到来して
いるといわれますが、日中のビジネス慣習、発展経緯の違いから、
日本企業や日本人にも中国内で発展空間の余地が残されているかどう
かは、判断が難しくなっているというのが現状ではないでしょうか。
posted by bintian at 13:52| 2019製造業から見た中国経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年02月26日

2019 製造業から見た中国経済の動向

中国の内部で今何が起きているのか?
経済は、いったいどうなってしまうのか?

誰もが興味を持って見守り、2019年の日本の経済にも少なか
らず影響を及ぼす中国の動向について、現地のローカル企業
で働く日本人の働きぶりを追いながら考えてみます。

上海から高鉄と呼ばれる新幹線を使うと最速で4時間で行ける湖北省
のある工場構内、整然とした工場内は人がいません。その代わり自動
機械が加工を行い、多くの機械が並ぶラインには数えるほどしか人は
いません。

都市部に比べると工賃が安いエリアに工場があるので、数多くの工員
を雇い製造を行っているという昔のイメージは全くありません。

そこに雇われている日本人は、業界に精通していて、「ヘッドハン
ティング」で採用され、
与えられた使命は工場の効率化や品質の改善です。費用が掛かっても
自動化や無人化など人を減らせる提案を求めているという事でした。

工賃が高い日本で自動化や無人化を進めるというのは理解できますが
工賃が安い場所でも自動化や無人化を進めるローカル企業。日本人には
考えられないかも知れませんが、その背景には少しでも条件の良い給与
先を求めて、ある一定の年齢までは転職を繰り返すという昔ながらの
農民工と言われる人たちの姿が残っています。

経営者からすると、仕事を覚えた頃には転職してしまい人の入れ替わり
が激しいため、ルールの徹底ができず生産や品質が安定しません。そこ
で、費用がかかっても自動化や無人化を進めて安定した管理を行いたい
という事のようでした。

そして、その任務を担っているのが日本人なのです。

ヘッドハンティングされているため、結果を求められ、経営陣も日本人
に期待をして雇用しています。契約の一年一年が勝負なので、決めた
ことをすぐに実行に移しているのです。

高給の日本人を雇ってでも、自分たちにない考えや発想を取り込んで、
中国での激しい競争に勝ち残りたいという気持ちと、本音のところ、
儲かるなら手っ取り早い方法でなんでも構わずどんな手段でも使うと
いうそんな貪欲な経営陣の考え方が見えてきます。

そんな中で、現地の日本人を見ていると何とも複雑な気持ちにさせら
れます。

日本の企業では、まだまだ人の熟練技能を大切にして、他国には真似が
できない製品を生み出していく力があります。優秀な高価な機械を導入
しても、最終的にその性能を引き出すのは人の力です。製品の差別化
には人を育て技術を磨いていく地道な努力が必要です。

短期的な利益を追求する経営姿勢はいづれ行き詰ると思います。
そのツケが今、中国経済のひずみとなって蓄積しています。
具体的な内容は次回よりこのコーナーで綴っていきたいと思います。

posted by bintian at 09:37| 2019製造業から見た中国経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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