2019年03月17日

中国金型産業の動向と日本との関係

1.中国金型産業の現状
国際金型協会(ISTMA、本部ポルトガル)によると中国の金型市場(売上高)は2017年に2,433億中国元(375億米ドル)と世界全体の3分の1を占めるに至った。中国の金型業界が急成長を遂げたのは、自動車は年3,000万台を生産販売するという世界最大の市場、工場になったことが背景にある。一方で日本は、金型を納入する工場の海外移転などに伴って業界の縮小が続いている。タイや中国などに進出して生き残っているケースも多い。

中国の金型業界は政府の『第13次5カ年計画(2016年〜2020年)』が掲げる目標の達成に向けて取り組んでおり、中国の金型生産は年9.1%増という高成長が達成できている。ISTMA統計によると、中国の金型輸出は年に約55億米ドルと世界の4分の1、同輸入は20億米ドル(同8分の1)。中国は金型の輸入が減少し、輸出が拡大していることが近年の特徴となっている。そして、新中国が成立して100周年を迎える2049年には、世界最強の「製造強国」になることを最終目標としている。

中国でも金型工場は一時は約3万件の工場が存在していたが、競争力を失ったところを中心に縮小し、現在では約2万件の金型工場が操業していると言われている。しかし経営不振で倒産に至ったケースは多くはなく、合弁や提携して大手の下請けになる、金型を使った部品や製品製造に業種をシフト、技術があるところは航空機などの精密部品製造に転業、といった方向に経営内容を変えたところが多い。

2.中国金型産業の今後
では、今後中国金型は何を目指していくにだろうか。これまでの中国の金型作りは全般に“雑”だった。今後は金型業界を大きくすることよりも強くすることに力を注ぐ。具体的には金型の品質向上のためにAI(人口知能)も駆使したイノベーション、ビッグデータ収集によるデジタル情報の駆使など、ネットとの融合による方法を使って金型技術を高め、ブランド力を高めていくため、政府はブランド力がある優秀企業を表彰したり、知的生産を重視して知的財産の保護を進める一方で積極的に特許申請をするようにと指導している。こうして中国の金型が世界最強になれるのは2045年頃との予測もある。

3.中国の金型製造設備の50%が日本製
確かに中国の金型産業は規模的に世界最大となったが、日本、米国、ドイツの技術力とはまだかなりの隔たりがある。トヨタの生産方式などから学ぶべき点もまだ山積となっている。中国の金型製造設備は測定機器も含めて「50%が日本製で40%が欧米製、中国製が10%の現状」だ。これを見ても日本の中国での存在感は大きい。金型分野における中国と日本の交流は長くて深いものがあり、今後も両国の金型面での交流も深まって欲しい」と願っている。
posted by bintian at 16:18| 中国金型製作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月03日

金型のメンテナンスについて

金型は、メンテナンスして初めて機能を発揮します。
成形工場で成形機の稼働していない時間の原因を調査した
ところ、金型の故障が最も多かったという調査結果があります。

PPSやPOMなどは特にガスの発生が多いので頻繁にメンテナンス
が必要です。また長い間成形していると、スライドのレール部
分、水穴の錆、ガスが逃げ込む場所の損傷など・・・様々な箇所
が様々な理由で劣化してきます。

金型は、毎回500Kg/cm2程度の圧力が金型の内側にかかって
おり、尚且つ200〜300℃程度の樹脂を1分に1〜4回程度プレスし
続けている訳ですから、壊れないのが不思議なくらいです。

金型の初期費用をケチると、冷却不足や鋼材不良、スライド
レール無し等であとから費用が発生ししたり、すぐに寿命が
来たり返って高くなってしまったりという事態に陥ります。

良い製品図と良い材料選択、そして良い金型+アフターメンテ
ナンス性のバランスを取ることが必要になってきます。

金型の故障の原因は、大きく分けると4項目に分類されます。
(1)金型の設計不良
(2)金型の加工精度不良
(3)金型の摩耗・腐食
(4)金型使用時の操作の誤り

このうち、(1)(2)あってはならない項目です。

また、金型設計時には、メンテナンスの事も考慮した設計が
必要です。
分解しやすいように分解用孔を設けたり、フックボルト用ねじ
を設ける、組み込み補助用ねじ孔を設けるなど工夫します。
また、コア類がばらばらにならないようにフレームブロック構造
としたり、キーで固定する構造も有効です。コアピン類の配置
番号を刻印したり、方向性を一定にするためにツバカットを工夫
することもしばしば採用されます。

プラスチック金型のメンテナンスが必要になる原因のひとつが
成形時に発生するガスが液化し、金型へ付着することです。
使用する樹脂や形状に応じて最適なエアベントやエア溝を設置し
ガス抜き効率を実現する構造を取ります。このガス抜き技術が
金型のロングライフを実現することになります。

通常、金型メンテナンスというと(3)を対象にしています。
(4)は人為的な型傷で、10万ショットもすれば、何かが起
きる可能性がありますが、これを防ぐには、硬い鋼材を使用
するのが最も効果があります。

いずれの場合でも、故障が起きたときは、ただちに修理しな
ければならず、先延ばしするとさらに重大な結果を招くこと
になります。

金型のメンテナンスでは、工場によっては、メンテナンスと
オーバーホールの言葉を区別します。
メンテナンスとは、金型を分解しないで行う整備を言い、例え
ば2週間に1回、生産計画に入れて、定期的に行います。

オーバーホールとは、金型を分解して行う整備を言い、例えば
4カ月に1回、生産計画に入れて、定期的に行うものです。
方法としては、金型を分解し、それぞれのパーツを超音波洗浄
したり有機溶剤で洗浄し、錆びている部分を磨いたりめっきし
たりします。磨耗が激しい部分は、入れ子修正したり、部品交
換を行います。

メンテナンスの頻度は、成形品の品質管理状況や金型の大きさ
によってまちまちです。短い周期の金型では数日に1回、長い
周期の金型でも2か月に1回程度はメンテナンスが必要です。

簡単な補修は、成形現場でできる能力をつけることです。
そして、それには金型のメンテナンスのために、詳細なマニ
ュアルを作成することです。

大きな異常があってから修理するのでは多大な時間と費用が
かかります。日常の整備をしていれば、わずかな異常にも気
がつくようになり、大事に至らないうちに修理することがで
きます。

また、メンテナンスを効率的に行うためには、工具類、道具類
の工夫が重要です。
洗浄用ブラシ、分解工具、木製工具、布製治具、バフ、サンド
ペーパー類、磨きクリーム、ラップ剤、特製割り箸、竹へら、
竹櫛、エアーツール、クレーン補助具、Zライト、ルーペなどを
準備します。

作業台は作業しやすいように改善します。
作業しやすいテーブル高さ、歩行スペース、クレーン配置、
エアガン配置等を工夫します。図面を広げるテーブルやホワ
イトボード、デジカメ、ビデオカメラの活用も有効です。
ラベル:メンテナンス
posted by bintian at 13:45| Comment(0) | 中国金型製作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月29日

試作金型(簡易金型)の用途、メリットについて

試作金型(簡易金型)について、その用途、メリットなどに
ついて解説します。

■ 試作金型とは
金型構造を必要最小限の簡易的な構造に工夫して製作する金型
で、社内で成形する事を想定して製作、社外への持ち出し
(売り型)は行わず、試作評価用のサンプル品100個〜500個
程度の小ロットのみを納入する目的で製作される金型を言い
ます。従って金型の保管も1年程度を想定しています。

 ★小ロットの部品は試作金型(簡易金型)以外でも可能

■ 試作金型のメリット
試作金型による試作するメリットとしては、真空注型などの
試作と違って、射出成形機を使って製品を作るため、汎用樹脂や
エンジニアプラスチックなど熱可塑性の素材(ABS/PP/PC/POM
/その他)が一通り選択できます。
量産前に量産性評価を行いたい場合や、量産品に極めて近い品質
・機能を求める場合に有効な方法と言えます。

■ 使用材料について
試作金型では通常は、加工しやすいアルミ材を使用します。
アルミ材を使用することで、材料費15%、加工費35%程度安く
作ることが可能になります。

但し、アルミ材は、後で金型修正を行う場合は、放電や溶接に
よる加工ができないという制約があります。設計変更や改造が
想定される金型はアルミ材は避けた方が良いでしょう。
また金型ベースをアルミとした場合は、強度の点で繰り返し
使用はできません。

■ 複雑な形状への対応
コネクタなどの複雑な形状やPPSといった高温で使用される
樹脂にはアルミ金型では対応できない場合があります。
複雑な形状の場合には硬度の高い鋼材を使う事が望ましいの
ですが、金型製作時の加工性などを考え、必要な部分だけは
高硬度の鋼材を使い、比較的簡易的な形状部分にはアルミニ
ウム合金を使う、鉄とアルミのハイブリッド金型で対応します。

また形状が簡易的であっても、高温下で長時間成形持続する
場合にはアルミの機械的性質が低下するため、アルミは使用
せず鋼材で金型を製作する場合があります。

■ カセット方式金型
カセット金型は、金型の製品に関わる部分のみを交換し、共
用できるパーツに関しては共用を前提に製作される金型を言
います。

製品部分は製品形状ごとに製作が必要です。しかし成形機に
金型を取付けるためのモールドベースなど、他の金型と共用
しても支障がないパーツは、製作せずに流用し、価格を抑え
納期も短縮することが可能になります。

● カセット金型のメリット
 •キャビティ/コア部分など必要部分のみの製作なので工期
  の短縮が図れる
 •材料が節約できる
 •小ロット生産に向いている
 •金型の保管スペースを少なくできる

● デメリットとしては
 •大量生産には不向き
 •ベースが他の製品でも共用されているため社外への持ち出
  しができない
 •型の組換え作業があるため、成形費は割高になる

以上、課試作金型(簡易金型)は、量産前の試作品を、できる
だけ量産に近い形で製作する場合、また、小ロット品の製品な
どの用途で広く使われています。
金型は、スピードと価格がポイントとなります。
posted by bintian at 08:44| Comment(0) | 中国金型製作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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