歴史は繰り返す!
そういえば2013年にも、同じような状況があったんですね。
(以下は2013年の記事です。)
円安だからといって、部品や、原材料の海外調達率を下
げて国内調達に切り換えることも簡単ではありません。
一つの例ですが、今年の2月に注文をもらって、中国の
工場へ製造委託し、5月まで納入する製品は、その間に
円が10円も値下がりしてしまいました。
お客様とは円建て取引で、日本円で入金されますが
中国の生産委託工場へはUSドルで支払います。
お客様から1800万円の品物の注文を受けたとすると
2月時点では、1620万円(18万ドル)で仕入れ、1800万円
(20万ドル)で納入し、180万円(2万ドル)10%の粗利を
見込んでいました。
ところが、5月には、1ドル=100円まで急激に円安が
進んだために中国工場から18万ドルで仕入れるとすると
日本円で1800万円を中国の工場へ支払う事になります。
ところが、お客様からの入金は1800万円しかないので
粗利はゼロ円となってしまいます。
為替の変動リスクは、一般の企業で、年間90円±5円程度
と考えられますので、この想定リスク幅を大幅に超え
しかも短期間で変動したとなると、企業収益の面からは
大きな損失となってしまいます。
このような事例は、中国工場へ委託生産を行っている
企業では至る所で発生しています。
中国工場からの仕入れは
円安で10%、人民元の対USドル高で数%、中国の人件費
高騰が10%とすると、仕入れ原価が20数%上昇することも
想定しなければなりません。
今後中国の工場へ生産委託を行う際には、このような変化
を定量的に分析し、各案件ごとに慎重に事業判断していく
ことが必要となっています。